[camera] Lightroom/Camera RawがEOS 5D Mark IVのRAWフォーマットに対応

2016年9月20日付で、AdobeのLightroomおよびCamera RawがEOS 5D Mark IVのRAWフォーマットに対応しました。(→公式blogのアナウンス) 素晴らしいことに5D Mark IV独自のDual Pixel RAWフォーマット(DPRAW)にも対応していて、読み込み、編集とも可能です。ただし、上記アナウンス記事もあるとおり、

We do not support any specific dual pixel raw functionality.  If you are planning to use Dual Pixel raw files, please read Limitations with Canon Dual Pixel raw files in Camera Raw and Lightroom. 

ということで、DPRAWの独自フィーチャーである「解像感補正」「前ボケシフト」「ゴースト低減」についてはサポートしない、ということで、これらの機能を使う場合にはまずキヤノン純正のDigital Photo Professional (DPP)で適用した上でTIFFファイルでエクスポートしてそれをLightroomに取り込む必要があるということです。

まぁ想定内というか、これらの機能のためにLightroomに専用のUIを追加する、ということも考えにくいわけで、そりゃそうかなという感じです。FUJIFILMのフィルムシミュレーションのように特定メーカーの独自の機能に後から対応したというケースもありますが、あれはRAW現像プロファイルを選択するという既存のUIの延長で対応できたから、ということなんでしょうねぇ。

当面、DPRAWで撮るだけ撮っておいて通常はLightroomに閉じて運用、どうしても必要になった時だけDPPで加工して結果をLightroomに取り込み、という方向で行こうと思いますが、使う機会が本当にあるかどうかはちょっと微妙な気がしなくもありません。

さて、せっかくRAW現像がいつもの環境でできるようになったので、先日六本木から表参道にかけてテストに出た時の写真をもう一度引っ張り出していくつか試してみました。

まず、前回の記事でJPEGでも結構シャドウのディティールが残ってる、みたいな話をしたサンプルから。JPEGの再掲とRAWでハイライトとシャドウを救ったバージョンです。

_5d40251

_5d40251-from-raw

RAW現像側のシャドウはもっとバリバリに起こせるのですが、まぁ起こせるよ、ということが分かれば、という程度にしていますのでサムネイルレベルだとあまり違って見えないかもしれません。(ホワイトバランスも少しいじっているのと、カメラ撮って出しだとほぼ完璧に修正されているフリンジがRAWでは残っているのでそこも合わせてLightroom側で補正しています)

 

さらにLightroomからいつも使っているSilver Efex Pro 2に持っていったもの。

_5d40141-edit

いつものツールが使えるようになるとひと段落というか、多少落ち着いてくるところがあるのですが、そうなると今度は本格運用に投入したくなるわけで、飽きもせずに同じようなサイクルを繰り返すことになります。

続いてTonality Proに持っていったもの。

_5d40305-edit

 

こちらはいつだったかものすごい割引があった時に購入して、とりあえず持っているだけ、という状態だったのですが、色々ドライブがかかっているこのタイミングで引っ張り出してみました。できることはSilver Efex Pro2とそんなに変わらない感じですが、こちらの方が「仕上がりのイメージ」から発想した感が強く「Instagramっぽさ」がより濃厚な感じです。もちろん追い込もうという時にはしっかりと突っ込んでチューニングできる懐の深さもあるので、もしこちらに先に出会っていたらこちらを常用していたかもしれません。

 

最後に、Analog Efex Pro 2。Silver Efexと同様、ちゃんとお金を払って使っていたら開発元がGoogleに買収されて無償化されるという微妙なことになってしまったのですが、さすがにGoogleが買い取るだけあってしっかりした技術に裏打ちされたナイスなツールです。あまり使い込んでいないのでそれこそInstagramみたいになってしまいますが、そういう手遊びも適度に織り込みつつ、ちょっとカメラの話が続いたのでそろそろ映画のことも書こうと思っています。

 

_5d40329-edit

[camera] EOS 5D Mark IVによるJPEGサンプル

前回のエントリに引き続き、EOS 5D Mark IVのJPEG撮って出しのサンプルです。六本木の国立新美術館から明治神宮前までぶらぶらと歩きながら撮った写真ですが、例によって個人的な嗜好によりアンダーに偏っているので、あまり「作例」などと胸を張れるものではないのですが、とりあえず。

(※以下、写真をクリックすると原寸画像が別ウィンドウで開きます。)

 

まず国立新美術館、2Fから階下のカフェスペースを見下ろしたところ。EF24-70mm f/2.8L IIの広角端で、開放です。(なので左奥の方はちゃんと写っていません)

_5d40171

この日は曇っていて窓から入る光があまり強くないのですが、何となくハイライト側の描写が従来機と違っているように感じます。ちなみにピクチャースタイルは「ディティール重視」をベースに、そこからコントラストと色の濃さを1レベルずつ落としています。5DS Rと比べると画素数はかなり少なくなるのですが、実写では(ある意味当然ながら)解像度に不足は感じません。

次も同じく、国立新美術館の中で、同じくEF24-70mm f/2.8LL IIの広角端、ただし今度はf/4に絞っています。

_5d40251

まぁ見てのとおり露出アンダーでアレですが、実はこの撮って出しのJPEGでも結構暗部が残っていて、このまま持ち上げていくと天井面の細かい筋がしっかり見えてきます。Lightroomではまだ扱えないので未確認ではありますが、RAWファイルならもっと頑張ってくれそうな期待感があります。

続いて国立新美術館から少し歩いて表参道方面。またEF24-70mm f/2.8L IIの広角端です。ちょっと深みのある「色」がどう写るか、というテストです。

_5d40296

私はデジカメ自体、キヤノンからスタートしているので刷り込み的な話もあって元々キヤノンの色が好きなんですが、そういう意味でもこのMark IVは正常進化というか、同じ血統だなぁという感じ、個人的には非常に好ましい限りです。一方、このショットには入っていませんが、キヤノンのカラーレンダリングの長短を考えた時の「短」の方にくる、木の葉の緑とかの色褪せとかくすみ感も相変わらずです。ただ、今回のオートホワイトバランスの「ホワイト優先」はちょっと試した限りでは好みに合いそうなので、もう少し模索が必要な気がしています。

さらに移動して「東急プラザ表参道原宿」のエントランス。これもEF24-70mm f/2.8L II広角端です。色々撮ろうと思って出発しても、一番最初に好きなレンズを着けていってしまうとえてしてこういうことになってしまいます。

_5d40320

この階段はある意味、定番スポットといってもいいんじゃないかというほどよく見かける被写体なんですが、自分で撮るのは今回が初めてだったりします。なにせ他の用事がない場所なので、多少撮ってみたいと思っていても、そのためだけに原宿方面、というのはなかなか足が向かないわけですが、こういうメジャーなポイントに限らず、もう少し頑張って出かけてみるべきなのかもしれません。

もう一枚、同じところで、今度はEF50mm f/1.2Lの開放で。

_5d40332

ちなみにJPEG撮って出しと言いつつ、5D Mark IVではDIGIC 6+のパワーもあって、デジタルレンズオプティマイザを始めとして、カメラ内で各種の補正がかけられるようになっています。とりあえずここでは色収差と回折の補正だけONにしているんですが(周辺減光はむしろwelcome)、一点注意が必要なのはDPRAWで撮影しているときはデジタルレンズオプティマイザはONにできない、ということでしょうか。

最後、帰る直前、地下鉄への階段を下りながらの一枚です。こちらもEF50mm f/1.2Lの開放。

_5d40377

この湿り気も実に好ましいんですが、3000万画素というのは、決して低画素数ということではないものの、5DSの5000万画素超というところを通過してきた今となっては、気のせいではあるんでしょうが、何というか丸まった感じがして、これもまた一つの味わいとなっている感があります。今回は一台だけ持って歩きながら撮る、ということだったので直接の比較はしていませんが、細かい描写力が活きるような被写体で同条件で撮り比べてみるのも楽しそうです。

 

ということで、他の方にとって多少なりと参考になるかどうか分かりませんが、JPEGでの街撮りのサンプルでした。

ちなみに5D Mark IVは5DS Rと比べるとメーカー公称40gも軽く、同じバッテリーで200枚余分に撮れ、GPSとWiFiまで備えてますので、散歩がてらに持ち出して街撮り、という観点では結構な優位性があります。WiFiでタブレットなりスマホなりに転送してJPEGをそのままどこかにアップする、という使い方だと、前述のカメラ内補正もかなり重要になってくるので、そうした用途がメインの方なら乗り換えは全然アリかなという気がします。

 

[camera] EOS 5D Mark IVのDPRAWによる解像感補正

EOS 5D Mark IVは、5D系としては初めてデュアルピクセルCMOSセンサーを搭載し、同じく初めて搭載されたタッチパネルとともに、ライブビュー/動画撮影時のオートフォーカスを新次元に持ち上げているのですが、さらにこのデュアルピクセルCMOSを活用して、DPRAW(デュアルピクセルRAW)という記録形式をサポートしています。 このDPRAWはセンサーの各画素からの情報をそのまま記録するRAWフォーマットに加えて、デュアルピクセルによる情報も合わせて記録するフォーマットということで、ファイルサイズもざっくり2倍程度(30MB前後→60MB前後)になるのですが、それを使うことにより、RAW現像の段階で

  • 解像感補正
  • ボケシフト
  • ゴースト低減

という3つの新しい画像調整ができるようになっています。

中でもやはり「解像感補正」というのが個人的に一番気になっていたわけですが、キヤノン公式サイトのDigital Photo Professional 4での対応の説明によれば、

解像感が低い印象の画像を改善。被写体の奥行き情報に基づいた「解像感の微調整」が可能です。スライダーで、シフト量(奥から手前)、効果の強弱を調整できます。撮り直しのできない画像の解像感を高めたいときなどに有効です。

※調整後はややノイズが増加します。

とのことで、けっこう夢が広がる記述になっています。撮影後のフォーカスシフトみたいなことができるのだとしたらそれは大変なことですが、その一方、画素1個の半分程度の差しかない差分情報でどれだけのことができるのか、ということを思うと期待はある程度絞ってかかった方がいいような気もするわけで、やはりこれは実戦投入する前にしっかり確認しておく必要があるでしょう。

 

ということで、ちょっとサンプルを撮ってきました。「石垣のクローズアップ」という面白みのない素材ではありますが、何かの参考になれば。

 

まずオリジナルの画像がこちらです(クリックすると原寸画像が開きます)。ちょっと暗くなってしまっていたのでISO800なのが残念ですが、とりあえずフォーカス部分とそこから外れていくところは分かりやすい素材かと思います。

straight-output

で、これをDigital Photo Professionalで加工してみます。DPRAWの操作はツールとして独立していて、別画面が開きます。

DPRAW Zoomed in.pngフォーカス部分を等倍拡大した状態です。この時点では無加工。ここからまずBack方向(奥)にシフトしてみます。強度はデフォルトの5。

DPRAW Adjusted Back 5.png

逆にFront方向(手前)に同じく強度5でシフトしたのがこちら。

DPRAW Adjusted Front 5.png

非常に微妙な違いですが、よく見ると確かに解像感が変化します。それこそ公式サイトのサンプルにあるように、「瞳とまつ毛」といったような主観的印象を大きく左右するような被写体であればそれなりに違って感じられる、ということはあるでしょう。

その一方、キヤノン自身がこの機能をフォーカスシフトとかそういう呼び方ではなく「解像感補正」と呼んでいること、特に「解像感」の「感」という文字を選んでいることには相応の意味合いがあるわけで、最初からこれを頼りにするよりは、前述の公式の解説通り「撮り直しのできない画像」について最後の手段というか「せめてもの試み」的な意味合いで使ったり、最初から95点で撮れている写真を97点、あわよくば98点にするための最終調整として利用するのが正しい使い方なのではないかと思います。

参考までに、最終的にこの補正を加えてJPEG出力したものを貼っておきます(それぞれクリックで原寸ファイルが開きます)。ビューアーとかで最初のオリジナル画像とまとめて開いてパラパラと見比べると違いがよく分かるかと思います。

Micro adjustment Back.JPG

Micro adjustment Front.JPG

 

この「解像感補正」含め、DPRAW独自の機能については今のところ純正のDigital Photo Profossionalのみの対応ですが、Adobeも対応するのではないかという噂もありますのでその辺りも期待して待ちたいと思います。 (そもそも本日2016/9/11時点では5D4のRAW自体、Lightroomでは扱えないのですが…)

 

[photo] in and out of years / Akiyoshi-dai

_DSR7868(Canon EOS 5DS R + EF35mm f/1.4L II USM, 1/8000 sec at f/1.4, ISO100) 年末年始は山口県に帰省していたわけですが、ここ数年、実家に戻るたびに秋吉台に足を運んでいます。2億年以上前には海の底で、長い年月をかけて形成されていった石灰岩の地層によって成立した「カルスト台地」という地形で、人の手がほとんど入っていない一方、大きな樹木が自生しないために延々と草に覆われた中、まばらな潅木・低木とむき出しの白い石灰岩が点在する広大な丘陵地帯という、非常に特徴的な場所です。

夏場は一面が緑に覆われたそれは爽やかな景観なのですが、冬場は見渡す限り枯れ草という非常に佗しい光景で、かつ観光客もほとんどいなくなるため、ちょっと大げさに言うとこの世の果てに来たかのような上質の寂寥感が味わえます。ハイキングロード的な道が開いてあるのですが、駐車場から10分も歩けば、誰もいない、踏み固められた道を除けば人工物も見当たらない、といった状態で、他の場所では簡単には味わえないレベルで文明世界と断絶することができます。ある意味、極上の娯楽です。

a bliss of being alone(Canon EOS 5DS R + Sigma 20mm F1.4 DG HSM | Art 015, 1/2000 sec at f/1.4, ISO100)

この冬は気候も穏やかで、心細くなる程度には空気は冷たく、さりとて生存が脅かされるほどには寒くない、といった感じで、西日にもわずかに暖かさが残っていました。

モノクロで撮っていこうかと思ったんですが、せっかくの微妙な温度感を尊重して、カラーのままで。ちなみにこちらはSIGMAの20mm Artの開放ですが、この遠景のボケが好みに完全にはまっています。個人的には、明るい広角はこうでなければ、という感じ。

_DSR7359(Canon EOS 5DS R + Sigma 20mm F1.4 DG HSM | Art 015, 1/5 sec at f/1.4, ISO100)

同じく、20mm Artの開放です。日暮れ後、三脚を使って撮ってます。このレンズ、周辺も程よく落ちてなかなか深い色を出してくれます。

今回はあまり夕焼けの赤には恵まれませんでしたが、訪れる度にその都度、撮りたいものがあって、ここは本当に、毎年通っても飽きません。

しかし、この秋吉台、近年は地元の人手不足ということで、草地のメンテナンスのために欠かせない「山焼き」の規模が縮小していて、徐々に荒れてきているそうです。まぁ人為的な処置のない「自然」に還っていくことを「荒れる」というのが適切かどうかわかりませんが、今後どうなっていくんでしょうかね。自然破壊ということではないので、別にそれはそれで構わないのかもしれませんが。

[photo] in a life that is not mine

homebound(EOS 5DS R + EF35mm f/1.4L II USM, 1/4000 sec at f/1.4, ISO 100) 帰省時の写真をもう少し。今回、飛行機で帰るということで、久しぶりに羽田モノレールに乗りました。昔は羽田といえば大体このモノレールだったんですが、やはり他の交通手段より、少し「楽しい感」があります。

a tentative life(EOS 5DS R + EF35mm f/1.4L II USM, 1/640 sec at f/1.4, ISO 100)

関東に住んでいる期間の方がもう長くなってしまっているので、地元とはいえ、もはや「自分のホーム」という感覚はなく、台所に何気なく置かれたコップなんかも、外向きの視点で見つめてしまうような状態です。いろんなものが混じった感懐。

living beside(EOS 5DS R + EF35mm f/1.4L II USM, 1/125 sec at f.1.4, ISO 100)

日常を日常ではないものとして眺めるのは不思議なものです。

used to belong(EOS 5DS R + EF35mm f/1.4L II USM, 1/5000 sec at f/1.4, ISO 100)

通っていた小学校は、かつて運動場だったところに校舎が、校舎だったところに運動場が、というドラスティックな改築がされていました。面影ゼロです。