[camera] EOS 5D Mark IVのDPRAWによる解像感補正

EOS 5D Mark IVは、5D系としては初めてデュアルピクセルCMOSセンサーを搭載し、同じく初めて搭載されたタッチパネルとともに、ライブビュー/動画撮影時のオートフォーカスを新次元に持ち上げているのですが、さらにこのデュアルピクセルCMOSを活用して、DPRAW(デュアルピクセルRAW)という記録形式をサポートしています。 このDPRAWはセンサーの各画素からの情報をそのまま記録するRAWフォーマットに加えて、デュアルピクセルによる情報も合わせて記録するフォーマットということで、ファイルサイズもざっくり2倍程度(30MB前後→60MB前後)になるのですが、それを使うことにより、RAW現像の段階で

  • 解像感補正
  • ボケシフト
  • ゴースト低減

という3つの新しい画像調整ができるようになっています。

中でもやはり「解像感補正」というのが個人的に一番気になっていたわけですが、キヤノン公式サイトのDigital Photo Professional 4での対応の説明によれば、

解像感が低い印象の画像を改善。被写体の奥行き情報に基づいた「解像感の微調整」が可能です。スライダーで、シフト量(奥から手前)、効果の強弱を調整できます。撮り直しのできない画像の解像感を高めたいときなどに有効です。

※調整後はややノイズが増加します。

とのことで、けっこう夢が広がる記述になっています。撮影後のフォーカスシフトみたいなことができるのだとしたらそれは大変なことですが、その一方、画素1個の半分程度の差しかない差分情報でどれだけのことができるのか、ということを思うと期待はある程度絞ってかかった方がいいような気もするわけで、やはりこれは実戦投入する前にしっかり確認しておく必要があるでしょう。

 

ということで、ちょっとサンプルを撮ってきました。「石垣のクローズアップ」という面白みのない素材ではありますが、何かの参考になれば。

 

まずオリジナルの画像がこちらです(クリックすると原寸画像が開きます)。ちょっと暗くなってしまっていたのでISO800なのが残念ですが、とりあえずフォーカス部分とそこから外れていくところは分かりやすい素材かと思います。

straight-output

で、これをDigital Photo Professionalで加工してみます。DPRAWの操作はツールとして独立していて、別画面が開きます。

DPRAW Zoomed in.pngフォーカス部分を等倍拡大した状態です。この時点では無加工。ここからまずBack方向(奥)にシフトしてみます。強度はデフォルトの5。

DPRAW Adjusted Back 5.png

逆にFront方向(手前)に同じく強度5でシフトしたのがこちら。

DPRAW Adjusted Front 5.png

非常に微妙な違いですが、よく見ると確かに解像感が変化します。それこそ公式サイトのサンプルにあるように、「瞳とまつ毛」といったような主観的印象を大きく左右するような被写体であればそれなりに違って感じられる、ということはあるでしょう。

その一方、キヤノン自身がこの機能をフォーカスシフトとかそういう呼び方ではなく「解像感補正」と呼んでいること、特に「解像感」の「感」という文字を選んでいることには相応の意味合いがあるわけで、最初からこれを頼りにするよりは、前述の公式の解説通り「撮り直しのできない画像」について最後の手段というか「せめてもの試み」的な意味合いで使ったり、最初から95点で撮れている写真を97点、あわよくば98点にするための最終調整として利用するのが正しい使い方なのではないかと思います。

参考までに、最終的にこの補正を加えてJPEG出力したものを貼っておきます(それぞれクリックで原寸ファイルが開きます)。ビューアーとかで最初のオリジナル画像とまとめて開いてパラパラと見比べると違いがよく分かるかと思います。

Micro adjustment Back.JPG

Micro adjustment Front.JPG

 

この「解像感補正」含め、DPRAW独自の機能については今のところ純正のDigital Photo Profossionalのみの対応ですが、Adobeも対応するのではないかという噂もありますのでその辺りも期待して待ちたいと思います。 (そもそも本日2016/9/11時点では5D4のRAW自体、Lightroomでは扱えないのですが…)